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世界が注目する砂漠の緑化 寧夏(ねいか)

2010.03.31

砂漠緑化を実現させた「麦わら格子」作戦

 

 寧夏は、 西部、北部、東部をテングリ、ウランブホ、モウスという三大砂漠に囲まれ、中国で最も砂漠化が激しい地区の一つである。 砂漠化地域の面積は計2万9千平方キロメートルで、自治区総面積の57%を占めている。特に、 水が乏しい南部の山間は生態環境が極めて悪く、「苦しさは天下の甲たる(一番)」といわれ、国連の「世界で最も居住に適さず、 貧しい地方」リストに載っている。

 この寧夏で、 砂漠緑化に取り組んで成果を挙げたのが沙坡頭(さはとう)である。

 寧夏南西部の沙坡頭は、 黄河が大きく湾曲する手前の中衛県から西に約16キロメートルのところにあり、中国で四番目に大きい砂漠「テングリ砂漠」 の南東端にある。

 1958年に中国初の砂漠鉄道「包頭・蘭州鉄道」が開通すると、 人々は独特の砂漠緑化法で世界の奇跡を作り始めた。それは、包蘭鉄道を砂漠の侵食から守るために、麦わらを格子状に編んで、 砂地に埋め、砂を押さえるという方法を考え出したのである。

 この麦わら格子にはユニークなエピソードがある。当初、 麦わらを編む形は三角形やひし形、円形など試行錯誤が重ねられていた。ある日、作業員たちが冗談半分に「中衛固砂林場」 の文字を麦わらで編んで砂に埋めた。その夜、強風が吹き、ほかの麦わらは風に吹き飛ばされてしまったが、 この文字を編んだ麦わらだけは残っていたという。この偶然の発見によって、 1平方メートルほどの麦わら格子が一番有効であるという結論が下された。沙坡頭地区の風はジャンプするように吹きつける。 そのジャンプの幅がちょうど1メートルで、1平方メートルの格子は四方からの風を効果的に阻むことができ、 その上材料の節約にもなることが、後に専門家の分析により分かった。

 麦わら格子で砂を押さえたところには、 数十年の間に砂漠で育つ植物が徐々に生え増えていった。1977年、ケニアのナイロビで開かれた世界砂漠化防止会議で、 中国は沙坡頭での成果を世界に紹介。1994年には国連環境計画の「グローバル500賞」を受賞し、 その技術は世界中で使われるようになった。

 

 

粗放耕地を森林に戻す大プロジェクト

 

 固原 (こげん)市彭陽(ほうよう)県は、寧夏の南端にある六盤山の東麓に位置する。年間降水量はわずか350~550ミリで、 国内でも水土流失の著しい区域である。粗放農業で、長い年月耕地の手入れをせず、 さらに乱開発という悪循環により土地はやせて植生は乏しく、自然災害が頻発している。生活条件が悪いため経済の発展は遅れ、 農民の収入は低く、貧困県の一つに数えられている。

 県が設立された1983年には、 水土流失面積は土地総面積の92%を占め、年間で流失した土壌の総量は約1400万トンだった。地元政府と人々は、 水土流失を阻止し生態系を改善し、経済を発展させようと、「山の頂に植林し、山腹に帯状の棚田を作り、川やダムの堤防を固めて、 ダム、池、貯水池の水を共用する」新しい整備モデルを作った。

 粗放耕地を整備して森林に戻した面積は914平方キロメートルである。 彭陽県では現在までに92本の川を整備し、その面積は700平方キロメートルで、全県の整備面積の41%を占めている。

 現在、 全県における森林の面積は1281平方キロメートルに達し、森林被覆率は県設立当初の3%から22.4%に高まり、 水土流失が制御されている面積は1633平方キロメートルで、その面積は県設立当初の11.1%から現在70%に高まった。

 彭陽の人々が作り上げた「坂を利用した雨水貯水装置ベルト地帯」は、 地球の赤道3.2周分の長さに及び「中国の生態系長城」と称える声もある。

 粗放耕地を森林に戻すプロジェクトは、農村の産業構造をも改善した。 農民は牛や羊の飼育や出稼ぎにより、年間収入は以前の農耕作収入を上回っている。

 

 

人と水との調和が広がる銀川

 

 黄河のほとりにある銀川(ぎんせん)は、「塞上(北の辺境)の湖の町」 といわれている。「天下の黄河、寧夏を富ます」と称され、78. 4キロメートルにわたって市区を流れる黄河が1334平方キロメートルあまりの土地を潤している。黄河は何千年の歴史を経て、 何度も河道を変え、古い河道が湖沼になったため、銀川は「72の連湖」という別称がある。

 しかし、 河の水を引く潅漑と用水路を掘って排水する開拓が絶えず続いたため、湿地面積は徐々に減少し、 自治区が成立した1958年には160平方キロメートルにまで減ってしまい、 1981年にはわずか107平方キロメートルが残されるのみとなった。

 1990年代末、中国は生態系の回復と地域住民の生活向上を目指し 「西部大開発」を開始した。

 銀川市では、 湿地資源の保護や生態系の回復、住みやすい居住環境づくり、経済、社会、環境の協調的発展に取り組んだ。2003~05年まで、 銀川市は川、湖、湿地の回復と保護の基礎施設工事を行い、面積を4.5平方キロメートルまで拡大した。さらに、 湿地と湿地植生を約8平方キロメートルほど回復させ、大規模な「閲海(えっかい)、鳴翠湖(めいすいこ)湿地公園」を建設し、 長さ20キロメートルの都市型景観水路(唐徠渠(とうらいきょ))を築いた。

 整備後の唐徠渠には、農地の水利用、エコロジー、観光、庭園緑化、レジャー、 文化交流、洪水防止、潅漑などの効用が集約された。

 この開放式の水辺景観は銀川市民の居住環境改善モデルとされて、初回の 「中国居住環境範例賞」を獲得した。

 2007年には、洪水防止や排水、生態系保護、景観、 観光などの機能を一体化した艾依河(げいが)工事が完成。水質の向上、湖沼・湿地の用水確保、水資源利用率向上に大きな役割を果たし、 また、市民の居住環境を美化し、「都市の緑のリボン」と称えられた。

 現在、 銀川の湿地面積はすでに470平方キロメートルに達し、大小の天然湖沼は200カ所近くある。

 

 

生態系を守る 「緑の壁」計画

 

 寧夏の取り組みはさまざまな成果を収めているが、 砂嵐は依然として生態系の安全を脅かしている。このため寧夏は、全国の砂漠化防止の総合モデル地区として、 生態系保護のため安全障壁を築き、中国内地や北京、天津、唐山などの生態系を保護する新しい使命を担っている。現在、 4002平方キロメートルの生態系保護林建設プロジェクトが行われており、2012年の完成後は、 寧夏自治区内に4本の生態系保護障壁が築かれる。第一から第三のプロジェクトではそれぞれ667平方キロメートルが、 第四のプロジェクトでは787平方キロメートルの生態系保護障壁が砂漠化防止と貧困の改善に貢献する予定である。

 第一の生態系保護障壁は、寧夏の干ばつ・半干ばつ地区に作られ、 主に賀蘭山の東麓に生態系保護システムを構築する植林を行う。

 第二の生態系保護障壁は、寧夏の経済、 社会発展の核心地域に黄河湿地生態系保護林と、潅漑区の経済林を作るプロジェクトである。

 第三の生態系保護障壁は、寧夏の生態系危険地域に設けられる。 主に中部の干ばつ地域へのナツメ植林と、モウス砂漠での防風防砂林の植樹工事のプロジェクトである。

 第四の生態系保護障壁は寧夏黄土高原の重要なベルト水源地帯、 主に六盤山の生態系にやさしく、景観にも優れた水源保護林を植樹するプロジェクトである。

 具体的な緑化プロジェクトの成果の一つに、寧夏の特産品「枸杞(くこ)」 の作付け面積が年々拡大し、生産量の著しい伸びがある。ジュースづくりなど「枸杞」に関わる産業の振興によって、 緑化プロジェクトが社会、経済と協調することで、より力を得る姿を垣間見ることができる。