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海の安全を祈り、豊漁を願う 田横の祭海節

2010.02.28

漁師の習慣から一大祭事に

 

山東省即墨市、 東部沿海地区にある小さな町・田横鎮(注:中国では町のことを鎮という)。町の東側に周戈荘(チョウガーチュワン)という村がある。 周戈荘の西側には黄山という山があり、かつて、その山上には竜王を祭る廟があった。周戈荘の漁師は、年の初めの漁に出る前に、 この廟を訪れ、1年の海の安全を祈ったと伝わっている。

明代の永楽帝時代(15世紀)の頃からこの習慣は「祭海」 と呼ばれる行事になり、中華民国の初年(1912年)頃には春節(旧正月)と同じほどの大きな規模の行事になった。

社会の進歩に伴い、祭海の目的が海の神に安全を祈ることから、 今後の素晴らしい生活を願うものへと変化してきたが、伝統的な祭りの形式は継承されている。現在、祭海は独特な民族祭りとして、 周戈荘の地名とともに広く知れ渡っている。

 

 

祭りの準備

 

祭海節の10日ほど前から、田横鎮の女性たちは、しん粉細工 (色付きのもち米の粉で作る)で、寿桃、聖虫、枡などを作る。それぞれ、穀物とお金に困らず、豊かに暮らせるように、 という1年の願いを表している。

祭海の日が近づくと、男性たちは3つの供物の準備を始める。

黒いオス豚、 赤い羽根の雄鶏、魚のスズキのいずれも大きなものを選んで供物とする。

船長たちは、 村の老人に「太平文疏」の字を書いてもらい、達筆な漁師に対聯(ついれん:対句を書いた赤い紙)を書いてもらう。

祭りの前日、 海辺の竜王廟を掃除して対聯などで飾る。また、竜王廟の前の砂浜にも、松と柏の枝を立てて竜門を作り、飾り付けをする。船長は、 海に向かって一列に漁の道具や網を並べ、祭海の儀式に備える。

 

 

 

爆竹を鳴らし、 豊漁と繁栄を祈る

 

祭海の儀式の日、竹竿で作った数メートルの旗が風になびき、 供物台の上にはしん粉細工や軽食などがびっしり並ぶ。黒豚と雄鶏は、供物台の前に並べられる。

主祭者が儀式の開始を告げると、爆竹が一斉に鳴り響き、 人々は香りの付いた紙や「太平文疏」の文字を記した紙に火を点けて祈る。

儀式が終了すると、船の上や家の中で宴会が始まる。 人が多いほど福がやってくるとされているため、客人は大歓迎される。祭海節の2日後から漁師たちは海に出て、その年の漁が始まる。

2008年、 田横の祭海節は、中国の国家級無形文化遺産リストに登録された。

 

 

「しん粉細工」 は民族色あふれた芸術品

 

田横鎮の女性たちが作るしん粉細工は食紅で装飾され、それぞれ意味合いがある。

 

寿桃:

桃の形をしており、表面は「珠と戯れる二匹の獅子」、「竜と鳳凰」、 「春を告げるカササギ」などのめでたい図案で飾られている。

 

聖虫:

竜のような形をし、蓮の花の台座の上で渦巻いており、 これは財がもたらされるように、との意味がある。

 

枡:

かつて穀物を入れるのに使っていたもので、 口のところに小さな聖虫が這っており、穀物とお金に困らず、年々豊かになるようにという願いを表している。