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気品ある伝統の工芸品 「彫漆」

2009.05.31

 漆を何層にも塗り重ね、さまざまな文様を彫刻する中国伝統の美術工芸品 「彫漆(ちょうしつ)」。高度な技術と大変な手間を要するこの技法は、唐の時代に生まれたもので、お盆や香炉、飾り箱、花瓶など、 暮らしを彩る装飾品として親しまれています。

 

 漆の色などによってさまざまな種類がありますが、中国では、 朱漆だけを塗り重ねた「剔紅(てきこう)」、黒漆だけを塗り重ねた「剔黒(てきこく)」が好まれるそうです。これは、古来中国では、 朱色や黒色が高貴でおめでたい色だったため。朱色は「富貴色」とも呼ばれ、喜びや吉兆を表す色。 正月は紅色のお年玉袋を使い、結婚式では新郎新婦が紅い花を身に着け、また、赤ちゃんが生まれると親戚や友人に「紅卵 (殻を紅く染めた卵)」を贈るなど、今でも紅色を使ったおめでたい風習が数多く残ります。

 

 このほか、黄漆を使ったもの、黄・朱・黒色の漆を幾重にも塗り重ねたもの、 渦巻文様、唐草文様を彫り表したものなど、その色や文様の種類は多彩。また、螺鈿細工を施すなど、 さらに技巧を凝らした作品も見ることができます。唐の時代に完成されたこの工芸品は、鎌倉時代、室町時代になると日本へも伝えられ、 書院の床飾り、調度品、茶器などとして珍重されました。

 

 今でも高級品として愛される彫漆は、とても丈夫で、 いつまでも鮮やかな色彩を保つことから、結婚祝いなどのプレゼントとして好まれています。中国伝統の芸術を、 皆さんも身近に楽しんでみてはいかがでしょうか。