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水稲耕作の歴史を物語るミャオ族の祭り 嘗新節

2008.12.20

水稲耕作の長い歴史を物語る  

 稲穂が実る時期に行われる「嘗新節」は、自然条件により収穫の時期が年によって変動するので、 具体的な日時はそれぞれの村によって異なるが、祭りの内容は大体同じ。

 祭りの前にはどこの家でも牛や馬を太らせ、娘たちは美しい衣裳を仕立てたり銀のアクセサリーを準備する。 若者たちは蘆笙の手入れをするなど老若男女みな祭りの準備に忙しく立ち働く。

 祭りは三日間続く。初日に招待された客は盛装してみやげ物を担ぎ、牛を連れ隣村からやって来る。 客が到着すると村全体が歓迎ムードに包まれる。

 翌日、主人は早朝から、客と年長者と子どもたちを連れて祭祀の品を担いで田に出かける。

 儀式は、まず田を開拓した先人に感謝を奉げ、穀物の豊作を祈願する。その後祖先を祭り、最後に主人と客とが相互に酒を酌み交わす。 今年の稲の出来具合いを品評し、豊作の喜びを味わいながら帰途につく。

 家に戻ると、すでに主婦の手により、魚、鴨、もち米のご飯、ちまき、酒などが食卓に並び、宴会の準備ができている。 ちまきは前日に作っておくが、鴨や魚は、当日、線香をたき、紙銭を焼く儀式を行ってから調理するのが決まりだ。

 一家の主人は、自家の水田の稲穂を3本、もち米のご飯の上に置いて新米のシンボルとする。このとき、主人は再び線香をたき紙銭を焼いて、 祖先を祭る。

 3本の稲穂で祖先を祭ることには次のような伝説がある。

 昔々、人間は穀物を持っていなかった。天の雷神が穀物の国を管理し、人々は漁猟だけで生計を立てていた。そこでミャオ族の祖先ガオラオは、 穀物の種を得ようと、9999種の珍しい鳥獣を捕えて穀物の国に持って行き、9斗9升9碗の穀物の種と交換し、 翌年の春に備えてその種を倉庫にしまっておいた。ところが、ある夜のこと、神様が天上の灯をうっかり倉庫の上に落としてしまった。 倉庫はまたたく間に燃え、種はすべて焼かれてしまった。

 ガオラオは再び9999種の珍しい鳥獣と穀物の種とを交換しようとしたが、雷神は応じなかった。ガオラオは9日9晩考え、 よい方法を思いついた。1匹の犬を穀物の国に行かせ、穀物を干している場所でごろごろと転がらせて、 全身に穀物の種を付けて帰らせようとしたのだ。しかし、雷神はそれを見破り、99人の屈強な兵士に橋のたもとを守らせたので、 犬は橋から天の河に落ちてしまった。

 しかし、天の河に落ちた犬は、尾を高く上げて水面から出して種を守ったので、ガオラオは犬の尾に付いていた9粒の種を得て、 9升の穀物を収穫することができた。この収穫を記念するために、「嘗新節」が行われるようになったという。

 そして、犬に感謝を忘れず、祭りの日には一番初めに新米のご飯を犬に与える習慣が伝えられてきた。

 

三日間続く祭り

 

 初日、宴会が始まると主人は歌を歌い、それに答えて客も歌い、杯を空ける。このころには、闘牛場もにぎやかになる。 盛装した娘たちは行列を作り、若者たちは蘆笙を吹き、広場に集まる。村の長老がヒョウタンに入った酒を闘牛場に撒いて「戦闘開始」 の号令を下す。角に飾りを付け、首に旗を挿した雄牛は、4、5人の大男に引かれて闘牛場をひと回りしてから、中央に立つ。反対側には対戦する雄牛が自分の陣地に立っている。 闘牛が始まると、2頭の牛は頭を下げ、音を立ててぶつかり合う。観客は歓声を上げ、闘牛場は熱く緊張した空気に包まれる。 闘牛のほかに闘馬、闘鶏、蘆笙の演奏と踊り、綱引き、魚捕り競争など、多くのイベントがある。

 夜には、闘い終わった闘牛場に人々の歌声と美しい蘆笙の舞曲が一晩中響き渡り、盛装した女性たちが楽曲に合わせて踊る。 恋人たちは寄り添い、心の内を語り合う。

 最終日の朝、太陽が昇ってもまだ蘆笙の演奏は続く。夕方、客が別れを告げると、主人は別れを惜しみ、遠くまで送って行く。 山の谷間で別れるとき、客は主人に歌で来年の嘗新節に招待し、主人もそれを受ける。翌年は今年の主人が客となり、隣村まで出向くのである。