ハニ族の祝祭行事
ハニ族の祭りはすべて棚田農耕に関わる祭礼である。祭事は農耕の節目に行われ、 節気と農耕の節目を示す二重の役割を持っている。
ハニ族の年の始めは旧暦10月。「十月節」とはすなわち年越しと新年の祝いである。 秋の収穫が終わり農閑期に入る時期にハニ族の最も重要な祭りが5〜6日間続けて行われる。豊作を祝い、祖先を祀り、 一家そろって食卓を囲んで団欒を象徴するだんごを食べる。多くの家では食前にだんごのスープを牛に与える。 1年間主人とともに野良仕事をしてきた牛をねぎらうためである。
●昂瑪突は、
宗教と娯楽活動が一体となった村の神を祀る伝統的な祭日。ハニ族の村には、村ごとに森林があり、
そのなかで特に幹がまっすぐ伸び、葉がよく茂っている常緑樹を選んで神木とし、これを村の神様として崇め、大切に保護している。

春の耕作を始める前に、神木の下で村の神様を祀る儀式を行い、順調な気候、 五穀豊穣、家族と家畜の平安を祈る。この祭りはハニ族の最も盛大な祭日である。
3〜5日間に渡って行われる「昂瑪突」の期間中、陽気なハニ族の老若男女は、 輪になって思う存分に踊ったり歌ったりして人生を謳歌する。そして、村でブタ1頭をさばき、供え物として各家に分ける。また、 餅をついたり、卵を彩色して、隣近所や親戚や友人をもてなす。村の通りに70〜80mもの長さにテーブルを並べ、家々の自慢料理を持ち寄りテーブルに出す。 村人全員がこの長いテーブルを囲んで酒を飲み、ご馳走を食べ、皆でハニ族の古い酒歌を歌う大宴会、これは「長街宴」と呼ばれる。 この時期に村を訪れるすべての人はハニ族のお客として食卓にまねかれる。また、 村人は黄色に染めたもち米と赤に染めた卵を苗代に供え、春を告げるカッコウの鳴き声を模して、 田植えの時期を知らせてくれる神に感謝する。
●康俄溌は、旧暦3月、田植えを始めるという意味。 田植えの最初の日、女性は盛装で田植えをする。人々はこの日を「苗姫」が嫁ぐ日と考えているためだ。 田植えの手伝いにきた友人たちも含めて皆水田のあぜに集まり、まず一家の主婦が最初の苗を取り出し、 村の長老にその苗を植えてもらってから、皆で水田に入り田植えを始めるならわしだ。
●莫昂納節は、旧暦4月に行われる。
忙しい田植えの終わりを告げ
る祭りで、春と夏の変わり目でもある。祭日のために、ブタをさばいて祖先に供え、牛やすき、鍬、
鉈などの農具を祭り、家畜と農具へのねぎらいを示す。また、それぞれの家は自家の棚田の灌漑口で、水源を祭る儀式を行う。
●扎扎節は6月。夏から秋への変わり目で、 収穫のための下準備をする祭りだ。牛をさばいて供え、騎磨秋(シーソー)で遊ぶ。これは、ハニ族が水田のあぜ道をつくった時に、 アリやミミズなどの虫を殺したことを虫たちが神様に訴えると、神様は虫を殺した人を宙に投げ出して懲らしめようと言い、 その一方で、ハニ族にはシーソー遊びを教えて、体を宙に浮かせて虫たちをごまかすようにと言ったという言い伝えによる。
このほかにも、新しい穀物を味わう「喫新節」や穀物保管のための「穀倉祭」 などもある。
祭日は人々の楽しみとともに農耕の時期を知らせる役割も持っている。こうして、 村の平安や五穀豊穣の祈願などをハニ族は宗教的な祭日のなかに溶け込ませている。
代々敬虔に行われてきた古い農耕文化にまつわる祭祀は、 雄大な棚田の景観の一部となっている。



