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高血圧の漢方養生

2008.04.20

「血圧」とは、血管の内壁にかかる圧力のこと。この圧力は、心臓が血液を送り出すとき(心臓の収縮期)にいちばん大きくなり、これを 「最大血圧」といいます。反対に、心臓が血液を受け入れるとき(拡張期)にかかる圧力はいちばん小さく、これを「最小血圧」といいます。 最大血圧と最小血圧は、どちらが高くても高血圧。最大血圧が140mmHg、 最小血圧が90mmHg以上の場合に、 高血圧と診断されます。

 高血圧には、腎臓疾患やホルモン異常など原因がはっきりしている「二次性」と、明確な原因がなく、自覚症状も比較的少ない「本態性」 の2種類がありますが、約9割の人が後者の「本態性」に該当します。

 中医学では、高血圧の原因の多くは精神的な影響(ストレスなど)血行障害(血管の硬化、血液の粘稠度など)そして、 慢性化することに従って臓腑機能の低下も高血圧の原因になると考えられています。

 ストレスや喫煙、肥満、運動不足、塩分やコレステロールの高い食生活など、生活習慣が大きな要因となる高血圧。特に、 食事の改善は高血圧の予防、改善に欠かせません。まずは毎日の生活をしっかりと見直し、高血圧になりにくい体質づくりを目指してください。

 

<タイプ別・高血圧の食養生>

 

エネルギー不足型 (虚弱タイプ)

慢性、高齢の人の高血圧に多いタイプ

 加齢とともに増える高血圧症。高齢の人、慢性化している人の高血圧は、体力不足にも配慮が必要です。血液を運ぶ気(エネルギー) が不足すると血液の流れが滞り、動脈硬化が進み高血圧につながるのです。

 主に、息切れ、疲労感、動悸、耳鳴り、めまい、物忘れ、睡眠障害、腰痛、夜間の頻尿、舌の色が淡い、といった症状が現れます。

 このタイプの高血圧は、エネルギーの源を生む「腎」がポイント。腎の機能が低下してエネルギー不足になってしまうため、 腎を補うことが大切です。

 <お勧めの食材>

枸杞の実、なつめ、杜仲茶、バナナ、 干し柿、りんご、胡麻、納豆、豆腐

 

血液どろどろ型(血行不良タイプ)

「最小血圧」が高い人に多く見られるタイプ 

 血液が汚れて(例えばコレステロール、中性脂肪が高い)ドロドロになり血液の循環が滞る、 血管の内壁に汚れが溜まって血栓ができる、といった血行障害を中医学では「血」といいます。血が主な原因となる高血圧は、 慢性的な血管疾患のため血管が徐々に硬くなり、さらに血行が悪くなる心配も。できるだけ血行を良くし、血管の若さを保つことで、 動脈硬化や高脂血症、狭心症といった病気を防ぎましょう。

 また血が発生すると、血と一緒に流れている「水(すい)」も停滞してしまいます。水が停滞すると、痰湿(体内の余分な脂肪や水分) と呼ばれる病理的な物質が体内に発生し、血行をますます悪くする恐れがあります。

 このタイプの主な症状は、頭痛、頭重、めまい、物忘れ、胸悶・胸痛、顔色が悪い、手足がしびれる、むくみ、舌の色が暗い、斑・点など。

 油っこい食事や肉食、塩分の取り過ぎなど、食の不摂生、体重の増加も血や痰湿が発生する原因になります。 停滞している血と水がスムーズに流れるよう、毎日の食事をしっかりと見直しましょう。

 

 <お勧めの食材>

わかめ 昆布 海草、 くらげ ひじき 鰹節、 とうもろこしの鬚茶、  黒きくらげ

 

ストレス型(熱タイプ)

「最大血圧」が高い人に多く見られるタイプ

 このタイプの高血圧は「肝」がポイントです。肝は血液の貯蔵庫であり、血液の流れや新陳代謝をコントロールする臓腑。この肝の血(陰) と気(陽)のバランスが保たれていると、新陳代謝もスムーズで情緒も安定します。

 しかし、怒りや憂鬱など精神的なストレスが溜まると、肝の血を消耗し、陽気が過剰に上昇。陰陽のバランスが崩れ、血圧も上昇するのです。

 このタイプは、頭痛、めまい、耳鳴り、顔の紅潮、ほてり、イライラなどの症状が目立ちます。また、口が渇く、舌の色が赤く舌苔が黄色い、 といった症状も見られます。

 顔の赤みや熱っぽさが特徴なので、肝の熱を冷ますことで症状を改善しましょう。また、 このタイプは怒りやイライラで一時的に血圧が大きく上昇することもあるので、血圧を下げる中成薬を併用すると安心です。

 <お勧めの食材>

菊花 セロリ、 もやし、 春雨、 きゅうり、 トマト、 苦瓜、 すいか 羅布麻茶、 柿の葉茶、 ひまわりの葉と花、 はぶ茶 緑茶

 

毎日の意識と工夫で、生活習慣の改善を

 

 上がった血圧を薬で一時的に下げることはできますが、それでは根本的な高血圧の改善にはつながりません。まずは高血圧を予防・ 改善するよう、生活習慣を変えていくことが大切です。

 毎日の食事では、塩分はなるべく控え、薄味を心がけましょう。焼き魚や和え物にも酢の酸味を上手に使ってみてください。また、 加工食品はあまり使わず、新鮮な食材をとるようにしましょう。毎日のお酒も控え目(1日1合程度)に。

 ラジオ体操やウオーキング、太極拳といった有酸素運動も効果的です。お風呂は「ぬるめのお湯に10分程度」 を目安にしてください。またお風呂での事故も多いので、風呂場と脱衣所の温度差には注意しましょう。

 そのほか、ストレス解消のために趣味を持つ、安定した睡眠をとる、食物繊維の多い野菜やヨーグルトなどを食べて排便を良くする、 など無理なく実践できる養生法はたくさんあります。毎日の生活から高血圧を予防・改善するよう、 ちょっとした意識と工夫を心がけてみてください。