800年の歴史ある祭典
草原に人々の歓声が響き、馬がいななく。7月から8月にかけて開催される蒙古族の伝統的な祭典「ナーダム」だ。このナーダムは、チンギス・ ハーンがモンゴル国の王になった1206年から、約800年にわたって続いてきたとされている。 軍功の祝いや祭祀の度に大きな集まりが催され、祝祭とともに、モンゴル相撲や競馬、弓術の競技が行われるようになった。この3つの競技は、 蒙古族が長い遊牧生活の中で培った独特な競技種目で、蒙古族の男子が必ず身につける「男児三芸」と呼ばれている。
熱戦を繰り広げる伝統の競技
青々と緑輝くフルンベルの大草原。ここで開催されるナーダムで最も注目を集める競技は、モンゴル相撲。たくましい体格の若い選手たちは、 釘を留めた皮の上着に、吉祥を表す図柄をカラフルに刺繍したシルクのズボンをはく。試合の前、蒙古族の長い節の歌が3度歌われると、 選手たちは鷹の舞を踊りながら入場。両選手は握手をして試合を始める。蒙古族の相撲は、相手の足を抱えることができない。 顔を叩いたり後ろから引き倒したりすることも反則だ。
競馬には、俊足で戦いに長けた、蒙古高原特産の馬が出場する。生まれた時から馬と付き合う蒙古族は馬に特別な感情を持ち、 俊足な馬を持つことを誇りとしている。暴れ馬をならし、馬に乗って矢を放つ技術は蒙古族独特の技。何十頭もの馬が疾走すると、 会場は歓声に湧き、最初の馬のゴールとともに、観衆が賛歌を歌い始める。
また、かつて蒙古族に培われた弓術は距離においても、正確性においても世界最高のものであった。その弓術競技は、立って射る「静射」と、 馬に乗って射る「騎射」、遠距離から射る「遠射」の3種類に分けられ、試合は的中した矢の数で勝負が決まる。
夜はにぎやかに演芸を楽しむ
ナーダムは、一般的に毎年行われているが、地域によっては半年や3年に1度の周期で行われている。
時間や場所は決まっていない。伝統的な祝祭日として開かれ、その規模はさまざまだ。
大規模なものでは500人を超す相撲選手と300頭の馬が出場し、7?10日かけて開催される。
現在、ナーダムでは伝統的な3競技のほかに、ポロや陸上、綱引きなどの新しい競技も加わり、物々交換や演芸の公演、 科学放牧についてのコンサルティングなども行われている。
緑の絨毯を敷きつめたような草原では、パオから炊煙が立ち上り、バター茶と羊の肉の香ばしい香りが漂ってくる。 陽が落ちるとさまざまな演芸も開催され、夜のとばりに包まれた草原は喜びに満ちている。



