太極拳のはじまり
古代の人々は、早く走ることのできる馬や、 長寿と言われている鶴などの動作を真似することで、自らも速く走ったり、鶴のように長生きが出来ると考えていたようです。 太極拳に限らず中国に古くから伝わる武術の多くには、動物の動きを真似した動作が入っています。太極拳の原形が記された最古の書物は、 中国の春秋時代(紀元前5世紀頃)の思想家である老子の著書に、人々が腹式呼吸をしながら手足を動かしている様子が記されています。
また、「腹式呼吸を行いながら、身体を動かす」 という行為は、心身の統一と武術の習得に大変適していたため、清朝初期(17世紀中頃)、臨戦の訓練法であった拳法と、 不老長寿の仙人が若さを保つために行っていた養生法が結びつき太極拳が形作られたと言われています。そのような経緯から、 太極拳は、武術と養生の二つの流れを持っています。
太極拳を世に広めたのは、 同じ清朝時代に現れた楊式太極拳の創始者・楊露禅です。貧しい家の出だった楊露禅は「綿拳(陳式太極拳)」を18年学び、新たな楊式太極拳を創り出しました。
その後、武禹襄、呉全佑、孫禄堂など太極拳を極めた人が現れ、 それぞれ特徴のある動きで流派を作り、中国全土に広めて行きました(主な太極拳の流派は図表1を参照してください) 。
1956年、中国体育運動委員会により、 太極拳を人々の健康増進に役立つように編集した国家制定拳「簡化二十四式太極拳」が生まれました。
動作の特徴と効果
簡化二十四式太極拳は24の動作で構成されており、のびのびとした動作と簡潔な手法、軽やかな歩法で、 老若男女どなたでも実践できる養生法です。鍛錬の効果をより高度に保つために、左右均等に動作を繰り返し、 集団でも単独でも練習できるように考慮されています。円形の動作を基本としており、雲のようにゆるやかに変化を続け、 大河のように一時も止まることなく動きは流れていきます。
身体鍛錬、健康維持、 病気治療法として大きな効果があるとされている太極拳ですが、具体的には、
1) 新陳代謝の活発化
2) 姿勢の改善
3) 足腰の筋肉の強化
4) 運動機能の向上
5) 振戦(震え) の改善
6) 肺の活性化
7) 便秘の改善
8) 血圧の正常化
9) ダイエットや美容
など、様々な効果があります。
太極拳を行う時には!
難しい動きや激しい動作が少ないため、 誰でも楽しむことができる太極拳ですが、次のことに気をつけて行いましょう。
時間帯: 一般的には、空気が澄んで \気 ≠ェ満ちあふれている朝に行います。とはいえ、 太極拳は余裕をもってゆっくり行いたいもの。たとえ夜でもスケジュールや体調に合わせて、 無理のない時間に練習するのがよいでしょう。
場所: 公園でも体育館でも、精神を集中できて、 手や足がぶつからない場所ならどこでも可能です。
服装: ゆったりと動きやすい服装で行いましょう。 また、底が薄く柔らかい靴がお薦めです。
それでは次に、 夏バテ対策にぴったりの太極拳の型をご紹介しましょう!
起勢( チーシー)
太極拳のはじめの姿勢。 腕を上げ下げする動作です。
腕や肩の力を抜いて、ていねいに、 心を静めて行いましょう。座ったままでも立ってもできる型です。
1.背筋を伸ばして胸を張り、 肘を軽く曲げて手のひらを下に向け、息を吸いながら両腕をゆっくり上げていく。
2.
肩の高さまで手を上げたら、 息をはきながらゆっくり腕を下ろす。
腕を下ろす時は、 両手のひらに空気の抵抗を感じるような心持ちで行う。



