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長寿郷探訪 「長寿の里・巴馬」

2007.05.20

中国には、国際自然医学会が認定した長寿村が二つある。今回訪れたのは、旧ロシアのコーカサス、パキスタンのフンザ、 エクアドルのビルカバンバ、中国新疆ウイグル自治区のアクスに続き、1991年に世界で五番目の長寿村に認定された巴馬ヤオ族自治県である。 巴馬ヤオ族自治県(以下巴馬県)は、少数民族の住居地として知られる中国広西チワン族自治区の北西部にあり、区都・ 南寧市からは251キロメートル離れた山岳地帯に当たる。 102cv01

人口23万8800人の巴馬県には、90歳以上の高齢者が530人おり、 そのうち100歳長寿者が74人いる。「100歳長寿者が10万人中、7.5人」 という世界保健機構が定めた長寿村の基準を大幅に上回っており、100歳長寿者の比率も年々高くなっている。

また、最も特徴的なのが、他の長寿村に比べ、巴馬県の100歳以上の高齢者は、 単に寿命が長いだけでなく、農業や家事などを元気にこなし、日常生活においても自立している点だ。

 

温暖な気候と豊かな自然自給自足の暮らしが長寿の秘訣102cv02

緑豊かな山々に囲まれた巴馬県には、少数民族であるチワン族やヤオ族の村が数多く点在している。 年間平均気温が約20度という温暖な気候と肥沃な大地に恵まれており、古くから農業を中心にした自給自足の生活が営まれている。

巴馬地域を流れる盤陽河は、岩山と丘陵地が入り組んだ断層の上にあり、「空気のビタミン」と言われるマイナスイオン値も高く、 工業都市や平原地域の10?20倍ほどある。マイナスイオンは精神安定や睡眠促進、免疫力や肺機能の強化などに効果的と言われ、 巴馬の高齢者が大きな病気にかからず、天寿を全うする理由の一つになっている。

巴馬県の100歳を超える長寿者の日課は、農作業から始まる。 今年103歳になるチワン族の譚仕宗さんもその一人。毎朝6時に起床し、洗顔と部屋の掃除をすませ、朝食後は2時間ほど畑仕事をし、 その日収穫した新鮮な野菜が食材となる。昼食は、お粥と野菜炒めで、四世代の大家族で暮らす譚さんは、 お嫁さんやひ孫たちと和やかに食事をしていた。

昼食後は昼寝をして一休みし、その後は夕食まで竹篭を編んだり、家事を手伝ったりして、 夜8時には床に就く。日の出と共に働き、日没と共に休むという自然と共存する自給自足の暮らしが、 譚さんをはじめとする巴馬県の長寿の秘密を物語っている。

 

大家族での生活から生まれた高齢者を敬い、親孝行する心102cv03

「老人を粗末にする者は、男でも女でも一生結婚できない」と言われる巴馬では、年長者を敬い、 親孝行することが尊ばれている。食事の席では年長者が上座に座わり、年長者とすれ違う時は、若者たちは道を譲る。 何世代も一緒に大家族で暮らすことが一般的な巴馬県では、長男が家を継いで親の面倒をみる。他の子どもたちも近くに住んで行き来している。 子どものいない高齢者は、親戚と生活し、尊敬され幸せに暮らしている。

盤陽河沿いにあるチワン族の坡月屯に暮らす105歳の黄媽倫さんも、長男夫婦が亡くなった後、 嫁に行った孫娘に引き取られて一家6人と幸せな生活を送っている一人だ。耳も目も達者な黄媽倫さんは、家の針仕事を一手に引き受けている。 日向ぼっこを楽しみながらひ孫の黄月利さんとおしゃべりするのが、黄媽倫さんの楽しみであり生きがいでもある。

長寿村が点在する巴馬県では、定期的に青空自由市が立つ。露店を出している半数は高齢者で、自分で作った野菜や竹篭、餅などを販売している。 市で顔を合わせる友人たちとおしゃべりしたり、客とやりとりしたりするのも楽しみの一つになっている。

巴馬県の100歳長寿者に共通しているのは、朗らかな性格でよく働いていることだ。 勤勉に働くことが幸福につながると信じ、「生命は運動にあり」という言葉を実践している。